新型コロナ 箱根深刻 旅館 収入8割減も

(しんぶん赤旗 3/10より)

新型コロナ 箱根深刻
旅館 収入8割減も

2020年3月10日【社会】

「支援制度早く」切実

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、各地の観光・宿泊業の経営が深刻な状況になっています。国内外から年間2000万人が訪れる日本有数の観光地・箱根(神奈川県箱根町)の実情は―。(丹田智之)
 「3月に入ってからキャンセルの数が激増しました。昨年の同じ時期と比べると収入は8割減。経営はどん底で、本当にきびしい」
 110年の歴史がある温泉旅館を夫婦で営む男性(63)は、困惑した様子で語ります。「毎日2~3組ずつキャンセルが出ます。予約の電話は全くと言っていいほどかかってこない。宴会も中止になりました。この状況が続けば経営が成り立たなくなる」と言います。
 箱根町は、昨年10月の台風19号で土砂災害が相次いで発生。観光客を輸送する箱根登山鉄道も箱根湯本―強羅(ごうら)間で土砂崩れによる運休が続いています。
 観光客がまばらな強羅駅前の商店街は寂しさが漂います。

開店休業

 土産物店を営む箱根強羅観光協会の中村雅昭副会長は「これから春の観光シーズンに入るというのに、客足は平常時の3~4割です。アジア系の外国人客もほとんど見かけなくなりました。1週間のうち3日は“開店休業”の状態になっている」と話します。
 定休日でもないのにシャッターを下ろした店舗が目立つようになり、中村さんは「店をやめる人も出てくるのではないか」と心配しています。

出勤減も

 日本共産党の山田和江町議は、5日の町議会で町が提案した最大500万円の緊急融資制度について質問。低利子で税金滞納者へも柔軟に対応したものにするよう求めたのに対し、町は滞納者への配慮を検討すると答弁しました。
 箱根温泉旅館ホテル協同組合の川口將明事務局長は「学生の合宿など団体旅行の中止が相次ぎ、パート従業員の出勤日数を減らした旅館もあります。収束が見通せないので、何も手が打てない状況です。消費税増税の影響もあります。経営者が前向きになれるような支援制度を早急に打ち出してほしい」と訴えています。
 山田町議は「倒産・廃業を1件たりとも出さないための追加の支援策を考えていきたい」と述べています。

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