前田ハウス 中小企業庁長官名冠す
経産・業者 癒着の館
2020年6月25日【社会】
持続化給付金事業で発注元の経済産業省・中小企業庁と事務を受託したサービスデザイン推進協議会(サ推協)、再委託を受けた広告大手の電通との癒着の接点として浮かんできたのが「前田ハウス」です。この間の国会審議、野党合同ヒアリングから明らかになったものは――。
「前田ハウス」の「前田」とは、中小企業庁長官の前田泰宏氏のことです。
幹部官僚と交流
「前田House in SXSW Austin」と大書されたビラ(写真)が国会で問題になっています。2017年3月にアメリカ・テキサス州のオースティンで開かれた先端技術が披露される世界規模の見本市「サウス・バイ・サウスウエスト」(SXSW)への来訪者に、宿舎の提供とパーティーへの参加をよびかけたもの。当時前田氏は、経産省の大臣官房審議官商務情報政策局担当という肩書でした。
「参加にあたって」というただし書きでは「前田ハウスに宿泊できます(限定15名)」「3/8―3/14まで6泊」「140平方メートルの大型アパートメントに15人で雑魚寝宿泊。女子部屋あり」「パーティーではビール、ワイン飲み放題、軽食フリー」などとあります。
注目は、「前田は3/8―3/12滞在」という部分。経産省の幹部官僚が滞在する期間を明示し、パーティーで懇親する機会があるからと、参加を募っている点です。
ビラのどこを見ても、「前田」が誰なのかいっさい書いておらず、前田ハウスが経産省幹部である前田氏と交流できることを承知している業者だけが参加する仕組みです。
宿泊定員は15人ですが、衆院経済産業委員会(6月12日)での前田氏の答弁では、約100人がパーティーに参加。野党から「業者との癒着を助長している、あるいは誘引するもの」と追及されました。梶山弘志経産相は「軽率な行動」と答弁しています。
電通関係者とも
また、前田氏は、サ推協業務執行理事で電通出身の平川健司氏とこのパーティーで会っていたことを認め、別の機会にも同氏と会食をしていたことも認めました。
サ推協は、持続化給付金事務委託をめぐり、入札公示前に事前連絡に加え、3回も中小企業庁の担当者と話をしていました。同庁は入札に参加したもう1社とは、1回しか面会しておらず、サ推協との密接な関係が問題視されています。
(しんぶん赤旗 2020/6/25より)