建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けた神奈川県の元建設労働者と家族・遺族の計64人(被災者44人)が国と建材メーカー43社に損害賠償を求める建設アスベスト訴訟(神奈川2陣)の控訴審判決が28日、東京高裁でありました。村上正敏裁判長は、国と建材メーカー3社の責任を認め、合計約9億5021万円の損害賠償を認めました。国には13度目の断罪です。
国に対しては一人親方を含む64人全員を、メーカーに対しては62人救済を命令。メーカーに対しては全国で初めて、解体・改修工事に従事していた原告に対する責任を認めました。
国の責任範囲は3分の1としましたが、違法性の開始時期は1975年10月1日からとし、―審判決(76年1月1日)からさかのぼらせました。
メーカーについては、販売当時20%以上のシェアを理由に3社の共同不法行為を認め、A&Aマテリアル34人、ニチアス32人、ノザワ9人の原告を救済しました。メーカーの責任範囲は4分の3としました。
ハウスクリーニング業の事業主として働き、肺がんを発症した望月道子団長(69)は、判決に「安堵(あんど)した」としつつも、仲間は無念の思いで亡くなり続けていると強調。「国とメーカーは1日も早く責任を果たし、被害者が長く苦しい裁判をしなくてもすむよう、被害者補償基金を創設してほしい」と訴えました。
(しんぶん赤旗 2020/8/29より)