「病床逼迫の通知 『医療壊滅』近い」 大みそかの来院者が陽性 体制増員し入院対応 コロナ患者入院受け入れを決断汐田総合病院(横浜市) 宮澤由美院長に聞く

「病床逼迫の通知 『医療壊滅』近い」
大みそかの来院者が陽性 体制増員し入院対応
コロナ患者入院受け入れを決断汐田総合病院(横浜市) 宮澤由美院長に聞く

2021年1月17日【1面】

 新型コロナ感染者の入院受け入れを開始した汐田(うしおだ)総合病院(横浜市鶴見区)の宮澤由美院長に現場の状況を聞きました。

 (畑野孝明)

 ―神奈川の新規感染者が1千人に迫っています。

 「医療崩壊」ではなく「医療壊滅」が近づいているというのが実感です。13日に県から届いた院長宛ての文書では、県内の病床利用率が12日に全体で89%、重症患者病床で94%に達したとして、コロナ陽性患者の入院管理を現在行っていない病院にも、診療・入院した患者の陽性が判明したら「原則として自院で継続して入院管理」することを要請しています。陽性者や、その疑いのある人に対応する病院を割り振ってきた「神奈川モデル」がたちゆかなくなったということです。

 当院は今年になって自主的に陽性患者の入院を受けるようにしましたが、昨年末までは、陽性の疑いのある患者を受け入れる「協力病院」で、陽性患者は「重点医療機関」に送っていました。「疑いのある」患者でも、受け入れをめぐっては院内にも反対意見が多くありました。その時の議論や、その後の実践があったので今回の決断ができたと思います。そうした準備のない病院がいきなり「陽性患者の入院」を求められても受けられるのか疑問です。

 当院が陽性者の入院を実施したのは「忘れられない大みそか」からです。県内では昨年12月には空きベッドがなく転送できない事態が起こり始めていました。自宅に帰して症状が悪化して命を失う事例が各地で生まれる中、陽性患者の入院も受け入れることを検討していた12月31日、陽性患者の高齢の両親が来院して陽性が判明し、転送も在宅での看護もできず、やむを得ず当院に入院してもらいました。年末年始の体制を急きょ増員して乗り切りました。年明けには、正式に陽性患者の入院を受け入れ始めました。

医療続けるため 減収の補填ぜひ

 ―医療崩壊を防ぐために何が必要ですか?

 当院のコロナ患者(疑似症者含む)病床は最大10床で、感染拡大が続けばすぐに満床になります。これ以上コロナ病床を増やせば、他の医療にしわ寄せがいきます。病気になっても入院できないという事態が目の前に迫っています。

 病床確保に限界がある以上、この事態の打開には感染を減らすしかありません。今回の「宣言」は前回ほどの効果を発揮していないようです。ぜひ人との接触を減らしてほしいですね。「Go To キャンペーン」とか外出を促すようなメッセージが政府から出たことも影響しているかもしれません。

 ―経営への影響は?

 昨年前半は、ただでさえ苦しい経営が、受診抑制もあって深刻な事態になりました。救急診療を増やしてほぼ病床は埋まるようになり、残業削減やボーナスカットなど職員に痛みを伴う協力を求めました。コロナ対応に対する国の補助金もあり何とか危機的な状況は脱しています。命がけで使命感をもって医療に当たっている病院が経営困難になったり、人件費にしわ寄せがいったりする現状は間違っています。補助金はいつまで続くかわからないのが現状です。行き当たりばったりでなく、減収の補填(ほてん)などで、安心して医療を続けられる施策をぜひ実施してほしい。日本共産党県議団の奮闘の結果、年末年始の受け入れに対して県から数百万円の協力金が出たのも助かりました。

 ―医師や看護師など職員の状況は?

 厳しい事態が続いていますが、職場のチームワークは昨年より高まっています。職員へのアンケートや臨床心理士作成のメッセージなど、職員の体と心の健康を気遣っているつもりです。職員の感染が3人ありましたが、昨年購入した2台のPCR検査機を駆使し、3桁の接触者への検査を一気に行うなどでクラスターを回避できました。

(しんぶん赤旗 2021/01/17より)

 

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