福島から避難 原告切々訴え
かながわ訴訟弁論
2021年2月14日【地方特集】
東京電力福島第1原発事故で、福島県から神奈川県に避難した住民らが国と東電を相手に損害賠償を求めている「福島原発かながわ訴訟」控訴審の第5回口頭弁論が12日、東京高裁(小野瀬厚裁判長)で開かれました。南相馬市鹿嶋区から家族で横浜市に避難している原告の男性と、原告弁護団が意見陳述しました。
男性は、原発事故で福島で仲間と一緒に始めた会社が廃業状態に。長男は希望していた進路変更を余儀なくされました。次男は避難先の学校の同級生から「福島へ帰れ」と暴言を受けて体調を崩し、「幸せだった家族の生活が突然もぎ取られた」と陳述。現在も、福島の家の近くに放射性物質が含まれたフレコンバッグが山積みになっており、高濃度の放射能汚染で廃炉作業の見通しが立っていません。「『生活するのに不安はない。なぜ戻らないのか』と質問する被告側に問いたい。あなた方はそのような地域に明日から愛する家族と引っ越し、不自由も不安もない快適な生活を送ることができるのか」と訴えました。
被告側の基準で「自主避難」と同様の扱いを受け、満足な補償も受けられないと述べ、「これを仕方がないと諦めなければいけないのか」と問いかけました。
(しんぶん赤旗 2021/02/14より)