食料支援続ける民青神奈川県委員長に聞く
「あなたは一人じゃない」
2021年3月7日【地方特集】
神奈川県の約20の大学を対象に、コロナ禍で困窮する学生に食料支援を50回近く実施している、日本民主青年同盟(民青)神奈川県委員会の中村和行委員長に話を聞きました。
(畑野孝明)
―食料支援のきっかけは?
昨年5月からとりくんだwebアンケートでつかんだ学生の声ですね。「1日の食費が300円以下」が15%もありました。「食料支援プロジェクト」を立ち上げ7月から始めました。やってみると、100食分の食料が1時間でなくなってしまいました。どこでも学生が大勢集まり、支援する側に回りたいと手伝ってくれる学生も出てきました。その学生が顔見知りに「お前も参加しろよ」と誘って、ボランティアが広がっています。
実施場所近くへのビラと口コミで案内して開催。回を重ねるうちに信頼され、市民権を得てきた実感があります。テレビのインタビューも受けました。
財布には88円
―見えてきた学生の実態は?
びっくりしたのは「財布には88円しかない。ここ(食料支援)があってよかった」という学生の話です。「アパートが火事になって住む所がなく、友人宅を転々としている」という学生も。ある大学のアンケートでは1人暮らしの90人のうち、27人が仕送りゼロ。仕送りがある学生も平均額は4万円でした。
大学生活の問題も深刻です。新入生はリモート授業しか経験できず、サークル活動も自粛で友達もできない。「学生になった気がしない」「浪人しているのとほとんど変わらない」という声も。食料支援にボランティアで参加した1年生は「ここでやっと同じ大学の学生と話ができた」「ほかの1年生も悩んでいることが分かって気持ちが楽になった」。上級生は「1年生と初めて話して、その大変さが初めて分かった」と話しています。
―授業料半減などにも取り組んでいますね。
「ずっと大学に行けないのだから、せめて学費を減免してほしい」という声が多くの学生から寄せられました。実態や声を、はたの君枝衆院議員と一緒に文科省に届けました。国会議員や文科省の方からも「実態を知らせてくれた」と感謝されました。
声をあげたことで、野党が共同で学費半額免除の法案を出すなどにつながり、学生支援給付金や授業料減免の予算が大幅に増額されました。12月には「給付金」追加配分も実現しました。若者の声が政治を動かしました。
学生の多くは、生活のために働いていて、雇用調整助成金や休業支援金の対象なのにもらえていない。学生自身も知らないという実態があります。その声もあげていきたい。
集団になる場
食料支援利用者の学生から「どうしてこんなことをしてくれるのですか」「なぜこんなに食料が集まるのですか」と質問されます。私が話しているのは「あなたは一人じゃない。支えたいと思っている人は地域に大勢いる」「生活苦はあなたのせいじゃない。社会に目を向けて声をあげて変えていこう」ということです。食料支援はコロナ禍で孤立しがちな学生が「集団になる」大切な場です。学生の困窮はコロナ以前からの問題なので、必要とする学生への食料支援をこれからも続けていくつもりです。
(しんぶん赤旗 2021/03/07より)