苦労報われる 建設アスベスト勝訴遺族語る

 建設アスベスト訴訟の最高裁での勝訴判決が出た17日、横浜市神奈川区の会場では、原告団と支援者らが、最高裁前からのインターネット中継を見守りました。勝訴の旗が出された瞬間、参加者から拍手が湧き起こりました。
 「ようやく苦労が報われる」-原告の本田照子さん(78)は涙ながらに語りました。
 大工だった照子さんの夫は、2007年に肺がんが見つかりました。闘病を続ける中、08年に神奈川原告団の1人として提訴しますが、翌年09年5月28日、判決を見届けることなく、67歳で亡くなりました。
 肺がんの診断当初、アスベストが原因ではないかと確認しましたが、病院側は否定。何度も検査を求め、生体検査の結果、アスベストが原因だと認定されました。それ以来、照子さんは、肺の異変が見つかった人には必ず生体検査で原因を確認するよう伝えています。
 「自分は間に合わなくても、後に続くアスベスト被害者のために」-。照子さんの夫は裁判を経なくても被害者が救済されるよう、補償基金制度の創設を強く望んでいました。「夫はがんが脳、脊髄に転移し、話すこともままならなくなった。法廷で自分の思いを伝えることができずに亡くなったことが残念です」と照子さんは悔しさをにじませます。
 夫の死から3週間後、悲しみの中、夫の無念を伝えるために法廷で意見陳述に立ったことを振り返り、「今月ちょうど13回忌を迎える。13回忌によい報告ができ、うれしい」と笑顔を見せます。
 「もう二度とこんな悲しい思いをする人がいない世の中にしてほしい。それが私と夫の願いです」

(しんぶん赤旗 2021/05/19より)

 

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